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卵巣がん患者さんたちの体験談を紹介します。

卵巣がん患者さんの体験談2

再発をきっかけに、自分自身に向き合う

診断後10年、50代

再発によって意識した、
病気と向き合っていくこと

初めて卵巣がんになったとき

卵巣がんと告げられたときのことを教えてください。

初めて卵巣がんになったとき

忙しく働いていた頃に、不正出血が続いて貧血になりやすくなり、いつもと違う体調の悪さを感じて近所のクリニックを受診しました。そこで、卵管が炎症を起こして卵巣が腫れていることが分かり、MRI検査をしたところ、先生から「おそらくがんです。それもあまりよくないので、すぐに大きな病院を紹介します」と言われ、あまりの衝撃に頭が真っ白になりました。
その翌週に、紹介された大学病院を受診して検査を受けた結果、卵巣がんの可能性が高く手術が必要とのことでした。「ああ、やっぱりそうだったんだ」と思う反面、ずっと夢の中にいるようで、「本当に私の身に起きていることだろうか?」という思いもありました。

その後、卵巣がんにはどのように向き合っていったのですか。

初めて卵巣がんになったときは、卵巣がんのこともよく分からず、漠然とした恐怖を感じていましたが、経過観察に入ればがんのことは意識しなくなるだろうと考えていました。しかし、3年後に再発したことをきっかけに、卵巣がんという病気や治療、卵巣がんゆえの大変さについて、あらためて自分自身で向き合っていこうと思いました。理解を深めていくことで、初めの頃と再発してからでは卵巣がんに対する認識が変わっていったように感じています。



「再発しても大丈夫、こんなふうに元気に生きていけるから」

治療をしていく中でご自身の支えになったことを教えてください。

再発治療を始める頃、患者会で、再発治療をしながら仕事や育児をされているお二人の方と出会いました。お二人は「再発しても大丈夫、こんなふうに元気に生きていけるから」と明るく励ましてくれました。その温かい笑顔と言葉から、私を少しでも勇気づけたいという気持ちが伝わってきて、本当に嬉しかったことを今でもよく覚えています。また、この先の治療を受けていく上で希望となるモデルを見たことが、私にとって大きな支えになりました。

再発はご自身の考えにどのような影響をもたらしたのでしょうか。

再発して、長く生きられないのかもしれないということを初めて意識し、自分にとって大事にしたい生き方について考えさせられました。そして、再発しても元気に生きていけると勇気づけてくれた方たちの思いを受け継ぎ、今度は私が後に続く患者さんの希望になるような生き方をしたいという気持ちが強くなりました。この思いから、がん患者さんやご家族を支援するNPO法人を2015年に立ち上げ、ライフワークとして様々な活動に取り組んでいます。



先生に伝えたいこと・聞きたいことはノートに書いておく

医師とのコミュニケーションに関して工夫されていることを教えてください。

聞きたいことや困ったことなどをあらかじめノートに書いておいて、それを必ず持っていくようにしています。優先順位を決めて話をしていって、話せなかったことは看護師さん経由で伝え、次の診察時に先生に教えていただいています。診察室へ一緒に入ってもらえる方がいる場合は、ノートの内容を共有しておくと、言い忘れそうになったときに思い出させてくれるので、そういった活用の仕方もできると思います。



同じ病気の患者さんへのメッセージ

治療を続けていると、つらくて何もかも放り出してしまいたくなることがあるかもしれません。でも、今は新薬が次々と開発されていますし、どんな状況になっても必ずどこかに希望はあると思います。そのことを忘れないで、前を向いていただきたいです。