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卵巣がん患者さんたちの体験談を紹介します。

卵巣がん患者さんの体験談1

病気になって始めたブログでの出会いに感謝

診断後12年、50代

「まさか私が?」という思い、
そして始まった怒涛の日々

初めて卵巣がんになったとき

卵巣がんと告げられたときのことを教えてください。

初めて卵巣がんになったとき

子宮筋腫のチェックを兼ねて、年1回はかかりつけの婦人科クリニックを受診していたのですが、42歳のときにエコー検査で卵巣の腫れを指摘されました。すぐに紹介先の総合病院で検査を受けたところ、卵巣がんかもしれないと先生から説明されたのです。それまでほとんど病気をしたことがなく、家族の中でがんになった人もいなかったので、最初は何を言われているのかよく分かりませんでした。「まさか私が?」という思いを抱えたまま、怒涛の日々が始まっていきました。

その後の治療はいかがでしたか。

治療を始めるにあたって、両親にサポートしてもらうため実家に近い病院を受診して、その約2ヵ月後に手術を受けました。検査の結果、IIIC期の卵巣がんと診断されました。落ち込みましたが、主人には泣いている顔を見せたくないと思い、お風呂で一人になってよく泣いていました。
1回目の抗がん剤治療が始まると、副作用の脱毛はすぐには起こらなかったのですが、4週間後に髪が抜け始めて、そこからバサバサと抜け落ちていったのです。このときの衝撃は今でも忘れられません。「髪は生えてくるんだし、命があることの方が大事」と先生に言われましたが、理屈では分かっていても悲しかったです。私は3度の再発で抗がん剤治療を受け、髪はほとんど生えてこなくなりましたが、先生の言葉を今はよく理解できるし、ウィッグをしておしゃれを楽しもうと思えるようになりました。



いつも変わらず支えてくれた家族の存在

ご家族に対してはどのような思いがありますか。

再発すると、そのショックよりも家族にまた心配をかけてしまう申し訳なさの方が大きく、伝えるときは本当にせつなかったです。ところが、両親は「そうなんだ、また頑張ればいいじゃん」とさりげなく気持ちに寄り添ってくれ、主人もまた普段と変わらず「できることを頑張ろうよ」と励ましてくれました。それがありがたかったですし、いつも変わらず支えてくれる家族の存在が、私にとってはとても大きかったです。



友達のおかげで
“できること、楽しいこと”に夢中になれる自分を発見

ブログをされているそうですね。ブログをされてよかったことを教えてください。

10年ほど前にブログを始め、自分の記録として卵巣がんのことを書いていく中で、治療で体調がつらい時期にはブログに寄せられたコメントに励まされました。私が他の方のブログに励ましのコメントを書くこともありますが、それは同時に自分自身を励ましていることでもあったんだなあと、あらためて思います。
また、ブログを始めて何よりもよかったのは、一生付き合っていけるかけがえのない友達に出会えたことです。友達とは病気のこと全部を説明しなくても、お互いの状況や気持ちが分かり合えますし、友達のおかげで日々の生活の中で今できることや楽しいことに夢中になれる自分を見つけることができました。友達とは、共通の趣味であるK-POPのライブに一緒に出かけられることが嬉しくて、それが治療を頑張るパワーの源にもなっています。



同じ病気の患者さんへのメッセージ

卵巣がんになって、私は普通に生きることのありがたさが身に染みて分かるようになりました。そして今は、病気のために不安の中だけにいるのはもったいないことだと思えるようになりました。先が見えずつらい思いを抱えているかもしれませんが、何でも話せる友達、自分が夢中になれることを見つけて、生きているこの瞬間を、少しでも楽しんでいただけたらと心から思います。