リンパ腫のお話

副作用の対処法(セルフケア)

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治療の副作用対策として、患者さん自身でできるケアの方法を紹介します。いずれの副作用の場合も、長引くときやつらいときは、がまんせずに医師、薬剤師、看護師に相談しましょう。

吐き気・嘔吐

吐き気がしたら、冷水うがいや、氷を口に含むのもよいでしょう。食事は無理せず、食べられるものをゆっくり食べます。味の濃いものは避け、においが気になるときは冷ましてから食べます。食後は体を休め、脱水症状にならないよう、スポーツドリンクなどで水分補給します。気分をリラックスさせると症状が和らぐので、家族との会話、音楽やテレビで気分転換しましょう。

下痢

下痢には治療直後に腸が活発になり起こる「コリン作動性下痢」と、腸粘膜の障害により起こる「遅発性下痢」があります。遅発性下痢は長引くこともあります。
下痢のときは、お腹を締め付けない服装にし、カイロやひざかけなどでお腹を温めます。水分補給は必要ですが、冷たい飲み物は避けましょう。食事は少量で回数を増やし、めん類やおかゆなど消化のよいものを中心に摂ります。脂っこいものや辛いもの、アルコールやカフェイン入り飲料は控えましょう。下痢をすると、腸液に含まれるカリウムが不足するので、バナナ、ほうれん草などカリウムを含む食品を摂りましょう。

便秘

便秘予防には一日三食、規則正しいリズムで食事すること、ウオーキングなど無理のない運動をすること、水分補給を心がけることが大切です。
便秘になったら、水分をしっかり摂ります。お腹に「の」の字を書くマッサージや、カイロでお腹を温めると、腸の動きが活発になります。慢性化した便秘にはヨーグルトなど、腸の働きを整えてくれる食品や、ゴボウやニンジン、イモ類、アボカドなど、食物繊維の多い食品を積極的に摂りましょう。

味覚異常

口内感染症や口内乾燥を防ぐため、歯磨きや舌の汚れ取り(ガーゼでふき取る)をして、口内を清潔にします。亜鉛不足は味覚異常の原因になるので、魚介類、ゴマ、豆類など亜鉛を多く含む食品を摂りましょう。苦み・金属味があるときは、酸味、薬味、香辛料で食欲を刺激し、ダシを効かせて味を濃くします。甘みが強いときは、砂糖やみりんを減らし、しょうゆなど塩味を強めにします。汁物は食べやすくしてくれるのでおすすめです。

口内炎

予防のためには口内の清潔が第一です。小さく軟らかめの歯ブラシで、毎食後、就寝前に歯磨きをします。水や生理食塩水でこまめにうがいをし、ガムをかむなどして口内の乾燥を防ぎます。
口内炎が痛むときは、歯磨き剤を低刺激のものに換えるか、うがいだけにします。義歯は食事以外の時は外して清潔に保ちます。
食べ物は、熱いもの、からいものなど刺激物を避け、薄味にして煮込む、とろみをつけるなど食べやすくしましょう。

倦怠感

倦怠感の原因を一つに特定できないため、薬での対処には限りがあります。体力を温存し、症状を和らげる工夫をしましょう。睡眠は十分にとり、倦怠感が強いときは無理に動かず、短時間でも休息します。
入浴や足湯、マッサージで血流をよくしましょう。食事は少量でも栄養バランスのよいものを食べ、体力低下を防ぎます。アロマセラピーやお香で気分をリラックスさせたり、好きな音楽や趣味、散歩で気分転換をするのもよいでしょう。

手足の先の感覚異常

手足の先がしびれると、階段の上り下りなど、生活のあちこちに支障が出ます。
症状を和らげるには、ぬるめのお風呂で手足を温める、手を握ったり開いたりする運動などして、血流をよくしましょう。家の中でも階段、段差のある場所で転倒しないよう、照明や手すりをつけ、つまずきやすいものは片づけましょう。手袋、靴下などで手足を保護しましょう。温度を感知しにくいときは、低温やけどに注意が必要です。自動車などの運転や危険を伴う機械の操作を避けてください。

血がとまりにくい

治療から1~2週間で、血小板が減少することがあります。出血のリスクを避けるため、鼻を強くかんだり、歯ブラシで歯ぐきを傷つけたり、排便時に強くいきんだりしないようにします。ひげそりは電気カミソリを使い、包丁など刃物を使う作業は極力控えます。
出血時は、タオルやガーゼで患部を圧迫しながら冷やし、安静にします。採血や点滴のあとは5分以上圧迫して止血します。血がとまらないときは、主治医に連絡しましょう。

貧血

赤血球の減少が原因で、治療後1~2カ月で現れることもあります。血色が悪い、頭痛・耳鳴り・動悸(どうき)・息切れなど、貧血のサインを見逃さないようにしましょう。
立ちくらみやめまいを予防するため、動きをゆったりとし、睡眠を十分に取りましょう。立ちくらみやめまいのときは、その場でしゃがみ、おさまるのを待ちます。食事は栄養バランスに気をつけ、レバー、青魚、貝類、チーズなど赤血球をつくるビタミンB12を含む食品を食べましょう。

血管が痛い

血管が細く脆(もろ)くなり、薬が血管の外に漏れ出す「血管外漏出」が起きたり、血管内の炎症が起きたりするのが痛みの原因です。血管外漏出は早期に対処しないと重症化するため、次のようなときは医師に連絡してください。
点滴針の部位やその血管がピリピリと痛む、腫れる、赤くなる、しびれるなど。点滴の落ち方がいつもと違う、血液の逆流がないなど。
点滴中の痛みは温湿布、点滴後の痛みは冷湿布で和らぎます。タオルなどを使って工夫してください。

骨髄抑制による感染症

血液を作る骨髄が障害され、白血球の中で細菌などから体を守る好中球という成分が減少することが原因です。治療後1~2週間はとくに感染予防が重要です。
こまめな手洗い・うがいで風邪やインフルエンザ予防をする、口内の清潔を保つ、排便後は肛門洗浄するなど、日常生活で感染予防を心がけましょう。切り傷を作りやすい庭仕事、ペットの世話などには手袋を使います。
好中球の減少中は、人込みを避け、マスクなどで、周りからの病気感染を予防します。食中毒予防のため、生肉などは控えましょう。

これらの副作用に対し処方されているお薬などは指示どおりに飲みましょう。

参考文献:

・中川靖章:抗がん剤治療中の生活ケアBOOK. 実業之日本社. 2013: 42-79.

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