武田薬品工業株式会社

PID患者さんとご家族へのインタビューへ

ライフイベント準備
親が年を取ることを念頭にいろいろと準備しておくことが大切

仕事を辞めてから親に頼って生きてきましたが、今では自分が両親を介護する立場になりました。親が元気なうちに先々のことを考えて準備することが大切です。

Hさん(40歳代)

原発性免疫不全症(PID)の病型は、分類不能型免疫不全症(CVID)

親が年を取ることを念頭にいろいろと準備しておくことが大切

私は在職中にPIDの症状が現れたので、退職せざるを得ませんでした。体調を考慮しながら仕事をすることになりますので、一度失業すると復業することは難しいと感じています。PIDと診断された当初は、毎日働くことがかなり負担になっていて、親に頼っていました。しかし、当然のことですが、親も年を取るので、いつまでも頼るわけにもいきません。私の場合、30代のときに母親が脳疾患で介護が必要な状態となって立場が逆転してしまい、仕事もできず、収入源もなく、自分の体調も考える必要があり、パニック状態でした。サポートされる側だったのに、急にサポートする側に回らざるを得なくなるし、それは急に訪れるものなのです。母に続いて父も介護していますが、夜間もトイレの介助などがあって、ここ数年は睡眠時間もろくにとれず休めない状態が続いており、自分の病気のことも考えられないくらいボロボロの状態です。排泄がうまくいかずにシーツや衣服が汚れてしまったりするともう本当に大変です。汚物の処理にも毎回手袋をはめるなどして自分が感染しないよう気をつかう必要があり、PIDだからこそ怖いと感じました。親が元気なうちはなかなか想像できないとは思いますが、親が年を取るということも念頭に入れておかねばならないことの一つだと思います。私の場合、想定よりも早かったので大変でした。今は元気だからといって安心せず、障害年金への申請をはじめ、いまできることを考え、進めておくことは大切だと思います。

障害年金の手続きをするには、「初診日証明書類」が必要

病気やけがによって生活や仕事が制限されるようになった場合は障害年金を請求することが可能ですが、請求の手続きにあたっては初診日を特定する必要があります。PIDは診断される何年も前に感染症として受診していることが多く、初診日を特定することが難しいため、手続きが非常に面倒です。私の場合、初診日を証明してもらおうと、おそらく初診だったと思われる病院に電話で問いあわせましたが、当時のカルテは廃棄されており、初診日証明書類を入手することはできませんでした。そこで一般の社会保険労務士に相談しようとしたところ、「初診日証明書類が用意できてから相談に来てください」と断られてしまいました。初診日証明書類が入手できないから相談しようとしているのに、です。

PIDつばさの会から、疾患に詳しい社会保険労務士を紹介してもらった

そこでPIDつばさの会で同様の事例がないか聞いてみたところ、PIDでの障害年金に詳しい社会保険労務士の方を紹介していただきました。最終的に、最初に受診した病院からは初診日証明書類を入手することはできなかったのですが、次に受診した病院に紹介状が残されており、紹介状で初診日が推定できるとのことで、手続きが可能になりました。初診から約20年経過していたことから、自分でもおそらく無理だと諦めかけていましたが、無事に障害年金の手続きをすることができました。PIDの場合、診断に至るまで病院も変わり、年月も経過していることが多いと思いますので、障害年金のことを念頭に必要な書類は残しておいた方がいいと考えます。

行政に障害年金受給は難しいと言われても諦めなかった

行政に問いあわせることも可能ですが、「難病というだけでは受給資格がない」、「過去に事例がない」と言われることも多いです。しかし、実際に私は受給できているので、そこで諦めずにいて欲しいと思います。社会保険労務士に関しても、PIDという病気を知っていないと、傷病に関する項目を適切な表現で記載できず、手続きは難しいと思います。治療がうまくいって病状が安定している場合は、受給資格がないと判断されることも多いので、PIDの知識がある社会保険労務士を探して依頼することは大切だと感じています。