武田薬品工業株式会社

PIDと診断されたら

PIDと診断されたら
日常生活で気をつけること

PIDと診断されたら日常生活で気をつけることについて分かりやすく解説しています。

監修 : 東京医科歯科大学 小児地域成育医療学講座 教授 金兼 弘和 先生

PIDでは免疫系がうまく機能しないために免疫力が低下している状態です。そのため、感染症にかからないために衛生面に配慮したり、免疫力の低下を防ぐための食事や運動を取り入れることが大切です。どの程度の注意が必要かは病気によって異なりますので、主治医とよく相談してください。

  • バランスのとれた食事バランスのとれた食事

    バランスのとれた食事

  • 十分な睡眠十分な睡眠

    十分な睡眠

  • ストレスを避けるストレスを避ける

    ストレスを避ける

  • うがい・手洗いうがい・手洗い

    うがい・手洗い

  • 適度な運動適度な運動

    適度な運動

感染症を予防するために

常に衛生的に

  • うがい手洗いはこまめに行いましょう。
  • 風邪をひいている人には会わないようにしてください1)
  • 虫歯や歯周炎になりやすいので、食べた後には必ずていねいに歯をみがきましょう2)
  • 人混みを避けましょう。
  • 皮膚肛門の周囲を清潔に保つことも重要です2)

食べ物で気をつけること

  • 生肉生卵の摂取は、通常避けてください1)
  • 真菌に感染しやすい病気の場合は、カビの生えている可能性のあるチーズは避けるようにしてください2)

生活で気をつけること

  • 土いじりはできるだけ避けてください。土いじりをした場合にはよく手を洗う必要があります。
  • 病気によっては、下痢の原因となる原虫が感染しやすくなるため、水道水プールなどにも注意する必要があります2)
  • 真菌に感染しやすいタイプの病気では、カーペットなどの敷物湿っぽい部屋など、カビの生えやすい場所には注意してください2)
  • 室内の観葉植物生け花加湿器なども、カビの原因となる可能性があります。
  • ペットは必ずしも禁止ではありませんが、主治医に相談してから飼う方がよいでしょう。既にペットを飼っている場合は、ブラッシング、つめ切りなど、こまめに手入れをするとともに寝床も清潔にしておきましょう。タオルや敷物、水槽などは細菌が増殖しやすいため、こまめな洗浄が必要です3)
  • 工事(特に解体工事)現場ではカビが舞い上がっていることが多いため、近づかないようにしましょう。
  • 直射日光を浴びたり、CT検査を受けたりすることを避けた方がよい場合もあります1)

免疫力の低下を防ぐために

  • 栄養バランスに配慮した食事を心がけましょう。
  • できるだけ、ストレスは避けましょう。
  • 適度な運動は免疫力の低下を防ぐとされています。
  • 睡眠中には成長ホルモンが分泌されたり、自律神経のバランスが整えられたりすることで免疫力の低下を防ぎます。質のよい睡眠を得るためにも、昼間、体を動かすことが勧められます。

予防接種は受けてもいい?

病気によっては受けてはいけない予防接種があることから、主治医と相談する必要があります。特に生ワクチンは、生きたウイルスの毒性を弱めて作られており、免疫が低下していると感染してしまう危険性があります。
ロタウイルスワクチンのように生後早い時期に接種する必要がある予防接種を受けた後にその病気にかかってしまったことから、PIDであることが診断された例もあります1)

タバコを吸ってはいけません

吸っている人は禁煙を。吸わない人は受動喫煙から身を守りましょう。

口から吸いこんだ空気は気管、気管支を通って肺胞という小さな袋に送られます。肺胞で、吸い込んだ空気中の酸素と、取り囲んでいる血管の中の二酸化炭素を交換することで、私たちは呼吸しています。
長い年月タバコを吸っていると、気管支や肺胞に炎症が起こり、最終的には肺胞が破壊され、呼吸機能が著しく低下し、呼吸不全の原因にもなりうるとされています。PIDの患者さんは感染症にかかりやすいので、肺炎を起こすリスクが高まります。
また、PIDのなかには慢性気管支炎、気管支拡張症になりやすい病気もあり、悪化すると呼吸ができなくなる危険があります1)

吸っている人は禁煙を。吸わない人は受動喫煙から身を守りましょう。吸っている人は禁煙を。吸わない人は受動喫煙から身を守りましょう。

※気管支拡張症とは

気管支が広がって元に戻らなくなる状態。気管支の壊れた部分に、細菌やカビが増殖して肺炎の原因となります。痰や咳、喀血などがみられ、次第に肺の機能が低下していきます。