武田薬品工業株式会社

PID患者さんとご家族へのインタビューへ

家族とのコミュニケーション
急激に悪化する可能性があるので、兆候を見逃さず早めに対処する

PIDは症状が急変する可能性が高いので、悪化の兆候を早めに察知して早期治療を開始できるように心がけています。不安を感じる場合は、医師に対してきちんと言葉にして伝えることが大切です。

Sさん(50歳代)

原発性免疫不全症(PID)の病型は、高IgE症候群

急激に悪化する可能性があるので、兆候を見逃さず早めに対処する

息子は、幼稚園から小学校低学年頃まで毎年のように肺炎で入院しました。また、小学校高学年のときは蜂窩織炎で2ヵ月ほど入院しました。最初は膝の擦り傷が少し炎症を起こしている程度で、PIDの治療をしてもらっている小児病院で診てもらい、通常より長めに抗生物質を処方されました。それでしばらく様子を見ていたのですが、なかなかよくならず、次第に重症化して、最終的には入院となりました。中学校1年生のときの肺炎では、朝に学校を休みたいと言い出した頃は比較的軽い咳がある程度でしたが、夜に発熱したため、これは肺炎の可能性があるのではと考え、翌日、病院に連れて行くともう肺炎になっていました。私自身も子どもの頃、「あなたの症状は急に悪化するからすごく心配」とよく母に言われており、自分でも、「体調が少しよくないかな」くらいに思っていると、突然崖の下に落ちるように症状が急変することがたびたびありました。親としては悪化の兆候を早めに察知して早期治療を開始できるように心がけています。専門の小児科医であれば理解してくれますし、街の医院などでも、病名と特徴的な症状についてお伝えすると、慎重に対処してくれることが多いのですが、場合によっては伝わりにくいこともあります。医師の診断をまずは信頼しつつ、「PIDにおいては、症状が急変する可能性がある」と、親としての感覚やこれまでの経験も、不安を感じる場合はきちんと言葉にして伝える必要があると感じています。

服薬の重要性を伝え続けることの大切さ

小学校高学年くらいから、反抗期ということもあり、息子は面倒くさがって薬をきちんと服用していませんでした。服薬が大事であることはそれまでも伝えていたのですが、なかなか素直に聞いてくれず、結果的に中学校1年生で少し重い肺炎になってしまいました。この肺炎での入院をきっかけに、PIDという病気はいったん感染症にかかると重症化しやすいこと、定期的な服薬が重要であることを、息子も以前よりかなり意識できるようになったように思います。また医師からも、レントゲンに写った肺嚢胞の画像を本人に見せつつ、お薬の役割や重要性について丁寧に伝えていただいたことで、PIDに対する子どもの理解度も少しずつではありますが、上がってきたように感じています。
私自身も、病名がわかる前の若く元気な頃は、きちんと服薬できていない時期もあり、面倒に感じてしまう気持ちはよくわかるので複雑な思いもありますが、そこは共感したうえで服薬の重要性はきちんと理解してほしいと思っています。

デイ入院を活用、医師との風通しのよいコミュニケーション

ふだん息子は小児専門の総合病院で感染免疫科・整形外科・皮膚科などを受診しているほか、PIDの診断を確定してもらった大学病院の小児科も、経過観察で定期的に受診しています。歯科については、小児専門の総合病院から紹介された、自宅近くの歯科医院を定期受診しています。
息子は3歳のときから小児専門の総合病院で月1回、ガンマグロブリンを投与しています。月1回のデイ入院は、息子を交えて医師とコミュニケーションをとるよい機会になっています。病気についてはインターネットにも多くの情報がありますが、なるべく医師や医療機関、製薬会社など、信頼できる情報を参考にするようにしています。信頼できるかどうかわからない情報を見て不安になるよりは、心配なことは直接医師に聞けるような、風通しのよい関係を築けていると気持ちがとても楽だと思います。幸い、これまでずっと信頼できる先生方に恵まれ、体調面で困ったことがあったときにすぐに相談できていることを、とてもありがたく思っています。小さい頃から同じ病院でお世話になっていて、先生やスタッフの皆さんも優しくしてくださるので、息子もデイ入院に行くとほっとするようです。息子は今、通信制高校に通っていますが、比較的時間に余裕があるため、通院の融通がつきやすく、また息子の性格にもあっているようで、進路決定の際は大変迷いましたが、そのような学習環境も選択肢の一つであると感じています。