小児リンパ腫のお話

小児リンパ腫の検査と診断

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リンパ腫と診断するには、どんな検査を行うのか

治療方針を決めるためには、悪性リンパ腫のタイプ(病型)とがんの広がり(病期)についての正しい診断が必要になります。そのために、さまざまな検査が行われます。

病理検査

悪性リンパ腫かどうかの診断と悪性リンパ腫のタイプ(病型)を判断するために、リンパ節や腫瘤を採取して(生検)、顕微鏡で細胞の形や性質を観察します。骨髄や胸水・腹水の採取で、診断が確定できることもあります。
病理検査は染色体や遺伝子の検査も行い、悪性リンパ腫のタイプも診断します。

リンパ腫の検査

がんの広がり(病期)や全身状態を調べる検査

悪性リンパ腫がどこに広がっているか(病期)、治療が可能な体の状態かを調べます。
病歴や症状(発熱、体重減少、寝汗など)、身体所見の他、血液検査や尿検査、放射線検査(胸部X線検査、CT検査PET-CT検査)などを行います。

リンパ腫の検査
リンパ腫の検査
血清LDH(乳酸脱水素酵素)とは
参考文献:

・伊豆津宏二(監):もっと知ってほしいリンパ腫のこと. NPO法人キャンサーネットジャパン. 2019: 5.

AYA世代(アヤせだい)15~39歳の思春期・若年成人をAYA(あや)世代と呼びます。
AYAは、英語の「Adolescent and Young Adult:思春期と若年成人」の頭文字からつくられた言葉です。

限局期(げんきょくき)悪性リンパ腫の病期分類の一種、アン・アーバー分類で、Ⅰ~Ⅳ期までのうち、Ⅰ~Ⅱ期を「限局期」と呼びます。Ⅰ期は単独リンパ節領域の病変、Ⅱ期は横隔膜の同側にある2 つ以上のリンパ節領域の病変など、病変の広がりが限定的な状態です。

進行期(しんこうき)悪性リンパ腫の病期分類の一種、アン・アーバー分類で、Ⅰ~Ⅳ期までのうち、Ⅲ~Ⅳ期を「進行期」と呼びます。Ⅲ期は横隔膜の両側にあるリンパ節領域の病変、Ⅳ期は1 つ以上のリンパ外臓器の病変がある状態です。

縦隔(じゅうかく)縦隔は、胸部の左右肺と胸椎、胸骨に囲まれた部分を指します。上部は頚部、下部は横隔膜までです。縦隔には心臓、大血管、気管、食道など重要な臓器や器官が存在します。

生検(せいけん)「生体検査」の略。病変の一部をメスや針で採取して、顕微鏡などで組織を詳しく調べることです。悪性リンパ腫の生検は、麻酔して、しこりのあるリンパ節か腫瘍の一部を切り取って顕微鏡で観察します。

CT検査(シーティーけんさ)CTはComputed Tomography(コンピュータ断層撮影)のこと。体の周囲からX線を当てて、体の断面図を撮影する検査のことです。病変の大きさや広がりを観察できます。

PET検査(ペットけんさ)PETはPositron Emission Tomography(陽電子放出断層撮影)のこと。放射性ブドウ糖液を注射して、体内から放出される放射線を計測して、断層画像を作成する検査です。細胞のエネルギー源はブドウ糖ですが、がん細胞は正常な細胞より大量のブドウ糖を必要としているため、PET検査で腫瘍の活動の状態を調べることができます。

骨髄検査(こつずいけんさ)骨髄穿刺(こつずいせんし)ともいいます。この検査は、胸骨、もしくは腰にある腸骨に針を刺して、骨の中にある骨髄組織をとる検査です。穿刺吸引法(せんしきゅういんほう)と針生検法(はりせいけんほう)があります。腰の骨(腸骨)に穿刺針を刺して骨髄液を吸引するのが穿刺吸引法、生検針で骨髄組織を採取するのが針生検法です。

アン・アーバー分類(あん・あーばーぶんるい)悪性リンパ腫の病期は治療選択、予後予測に大きく影響するため、正確に把握する必要があります。そのための分類法の一つで、悪性リンパ腫がどの部位に何カ所あるかを基本に病変の広がりと全身の症状を組み合わせて、8つに分けます。小児のホジキンリンパ腫は、修正アン・アーバー分類を用いています。

マーフィ分類(まーふぃぶんるい)悪性リンパ腫の「病期」は、がんがどのくらい進行してるかを示す言葉で、治療選択、予後予測に大きく影響するため、正確に把握する必要があります。マーフィー分類は、病期分類の一つで、小児の非ホジキンリンパ腫に用いられてます。悪性リンパ腫がどの部位に何カ所あるかを基本に病変の広がりを4段階に分けています。小児のホジキンリンパ腫は、修正アン・アーバー分類を用いています。

予後(よご)病気の経過についての、医学的な見通しのこと。「予後がよい」とは「これから病気がよくなる可能性が高い」、「予後が悪い」とは「これから病気が悪くなる可能性が高い」ということになります。

局所放射線療法(きょくしょほうしゃせんりょうほう)がん(腫瘍)のできている部位とその周辺に対して行われる放射線治療のことです。

薬物療法(やくぶつりょうほう)薬物療法とは、薬を使う治療のことです。がんの治療の場合は、抗がん剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、抗体医薬などがあります。

層別化(そうべつか)治療前の予後因子(年齢、白血球数、白血病細胞の性質など)により、使用する抗がん剤の種類や使い方を変更し、治療の強さに強弱をつけることいいます。

腫瘍崩壊症候群(しゅようほうかいしょうこうぐん)悪性腫瘍(がん)の治療で、腫瘍が急速に死滅するときに起こる異常の総称のこと。体内の尿酸が増える、カリウム、カルシウム、リンなどの電解質のバランスが崩れる、血液が酸性になる、腎臓からの尿の産生が減少するなどの異常があり、通常は治療開始から12~72 時間以内に起きます。

抗体医薬(こうたいいやく)抗体は体内に侵入した抗原と結びつき、その働きを抑えるタンパク質です。抗体医薬とは、がん細胞の表面にある特殊なタンパク質(抗原)を目印にして結びつく抗体を利用して、がん細胞の増殖を防ぎます。単一(モノ)の抗体産生細胞に由来するクローンから作った薬を「モノクローナル」といいます。

造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼういしょく)大量の薬物療法や放射線療法により残存しているリンパ腫を消失させるとともに、骨髄内の造血幹細胞が減少したあと、患者さんご自身、または、提供者(ドナー)の正常の造血幹細胞を移植し、正常な血液細胞をつくれるようにする治療法です。

患者さんご自身の造血幹細胞を移植することを自家造血幹細胞移植(じかぞうけつかんさいぼういしょく)といい、ドナーの造血幹細胞を移植することを同種造血幹細胞移植(どうしゅぞうけつかんさいぼういしょく)といいます。

播種性(はしゅせい)播種とは、全身に広がることを意味します。本来「畑に種をまくこと」を意味していますが、疾患が種をまいたように全身に広がる様子から使われれいます。

経過観察(けいかかんさつ)すぐに、薬物療法や放射線治療を受けずに、定期的に診察・検査を受けながら様子をみることをいいます。

CD30(シーディー30)CD30は細胞表面のタンパク質です。ヒトの細胞の表面にある抗原の一種です。ホジキンリンパ腫や未分化大細胞リンパ腫の細胞表面にCD30の発現が認められます。その他の非ホジキンリンパ腫の一部でも発現が認められることがあります。

抗原(こうげん)病原性のウイルスや細菌、がん細胞、花粉、卵、小麦などの生体に免疫応答を引き起こす物質

晩期合併症(ばんきがっぺいしょう)小児がんでは、病気そのものが治癒したとみられる場合でも、がん(腫瘍)そのものからの影響や、薬物療法、放射線療法など治療の影響によって生じる合併症がみられます。これを「晩期合併症(晩期障害)」といいます。

骨髄抑制(こつずいよくせい))血液をつくり出す骨髄の働きが低下し、白血球、赤血球、血小板などが減少します。化学療法の1~2週間後に影響が強く出ることが多く、白血球の好中球が低下することによって、細菌や真菌(カビ)に対する抵抗力が弱くなり、感染症を起こしやすくなります。

肝機能障害(肝炎)(かんきのうしょうがい(かんえん))肝臓に炎症を起こし、発熱、黄疸、全身倦怠感などの症状が起こることがあります。

腎機能障害(じんきのうしょうがい)腎臓が障害を受け、尿量が減る、体重増加、むくみ、呼吸が苦しい、おなかの張りなどの症状があらわれることがあります。

心機能障害(しんきのうしょうがい)心筋の障害により、脚のむくみ、動いた時の息苦しさ、息切れ、胸の痛み、心臓がどきどきするなどの症状が起こることがあります。

間質性肺炎(かんしつせいはいえん)肺の肺胞の壁や周辺に 炎症が起こり、この病態になると血液に酸素が取り込めず、 動脈血液中の酸素が減少した状態になります。主な症状として、「息切れ(呼吸困難)」、「空咳(痰のない咳)」、 「発熱」の3つが知られています。

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