植物のご紹介

ムラサキ

ムラサキ

Lithospermum erythrorhizon Siebold et Zucc. ムラサキ科(Boraginaceae)
生薬名:シコン(紫根)  薬用部位:根
日本、中国、朝鮮半島に分布する多年草で山地や草原に生育し、草丈30~60cmになります。生薬「シコン」は本種の根で、シコニン(ナフトキノン類)などの成分を含み、創傷治癒促進などの作用があります。一般用漢方製剤294処方のうち、紫雲膏(しうんこう)、紫根牡蛎湯(しこんぼれいとう)の2処方に配合されています。紫雲膏は、腫瘍、火傷、凍傷、湿疹、痔疾などの皮膚疾患に軟膏として広く利用されています。和名は、根の色が濃紫色を呈することに由来します。律令制度が制定された時には官吏の階級(冠位十二階)を冠の色によってそれぞれ区別しました。最も高位である徳冠の紫色は本種の根で染めた色と考えられています。本種の野生株は激減しており、環境省レッドリスト2017では絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。

種子は乾燥状態で保存すると発芽までに多くの日数を要するために、湿った砂などに4ヶ月冷蔵貯蔵(5℃)して、3月中旬頃に播種します。

7月頃、小さな白色の花を枝の先端や葉腋に多数つけます。

根皮は鮮やかな紫色を呈します。