周りのあなたへ:
できること、知っておきたいこと
ナルコレプシー患者さんにとっては、周りの人が話を聞いてくれる、病気を理解してくれる、気にかけてくれる、というだけで大きな心の支えとなります。
ここでは、ナルコレプシーの患者さんの身近にいる方に向けて、患者さんのためにできることや知っておきたいことを解説します。
症状について知っておきたいこと1,2)
ナルコレプシーの最も目立つ症状は、患者さんの意志や時と場所に関係なく1日に何回も繰り返す居眠りです。
見た目で病気だと分かりづらく、周囲から「怠け者」、「根性がない」、「サボり」と勘違いされてしまうことが多くあります。
また、ナルコレプシータイプ1には情動脱力発作(カタプレキシー)という、喜怒哀楽の感情が強く動いたときに首、全身、ひざ、腰、ほほ、あご、まぶた、などの姿勢筋の力が急に抜けるという特徴的な症状もあります。
ナルコレプシー患者さんにとっては、症状はもちろんですが、周囲からの誤解や理解されない苦しみなどがとても大きな問題となっています。
今すぐできること
1. 話を聞く
ナルコレプシー患者さんから病気について相談されると、「自分が何かしてあげなければ」、「自分にできることはなんだろう」と、気負ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、周りに理解されないことで悩み、孤立してしまうことも多いナルコレプシー患者さんにとっては、話を聞いてくれる人がいるだけでも大きな心の支えになります。
「話を聞く」ことが、患者さんのためにできることの第一歩です。
2. 病気を理解する2,3)
ナルコレプシーは、社会的にあまり認知されていない病気ですが、病気をコントロールして社会生活を送るためには、周囲の理解や協力が必要です。
本人の意志や努力ではどうにもならないことや、目が覚めているときはきちんと能力を発揮することなど、偏見や誤解に惑わされず、ナルコレプシーを正しく理解している人が周囲にいることは、患者さんの社会生活にとって大きな助けになります。
3. 学校や職場の環境を整える2,4)
眠そうにしているときに声をかけたり、困っているときに悩みを聞いたりと、少し気にかけてもらえるだけでも、患者さんにとっては大きな支えとなります。
他にも、学校であれば、休憩時間に仮眠がとれるような環境を作る、授業が始まるときに声をかける、職場であれば計画的に仮眠をとれるスペースを作り、スケジュールを調整できるよう環境を整える、ナルコレプシー患者さんに向いている業務へ変更するなど、患者さんのためにできることは多くあります。
症状は患者さんによって異なりますので、それぞれの患者さんにあわせて必要なサポートを行いましょう。
また、令和6年4月からは事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されました。
「合理的配慮」とは、障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思が示された場合には、負担が重すぎない範囲で対応することが求められるものです。ナルコレプシーもこの合理的配慮の提供の対象となる病気の一つです。社会的バリアを取り除くために負担が重すぎない範囲でできる対応について、患者さんと事業者で建設的な対話を重ね、解決策を探していくことが重要です。
4. 家族で支える2,5,6)
ナルコレプシー患者さんは、日常生活で困難に直面することも多く、強いストレスを受け続けることで、心の病気になってしまうこともあります。
家庭では、いつもと違う様子に気づいたら、話に耳を傾けましょう。気持ちを話すだけでも楽になることがあります。ただし、本人が話したがらないときはそっと見守りましょう。安心して過ごせる環境を整えることも大切です。
避けるべきこと6)
患者さんの助けになりたいという気持ちからの言葉でも、ときには逆効果になってしまうこともあります。
本人が話したくなさそうにしているのに無理に問いただす、「そんなことないよ」、「大げさだよ」などと相手のいうことを否定する、軽く受け流す、安易になぐさめる、「こうしたほうがいい」と自分の意見を押し付けるなどの対応は避けましょう。
また、相談されたからといって、患者さんのために自分一人で解決しようと頑張る必要はありません。必要に応じて、あなた自身も周囲に相談することが大切です。
【出典】
- 日本ナルコレプシー協会:ナルコレプシーQ&A https://narukokai.or.jp/qa.html
- 川崎俊:ナルコレプシーと生きるー向き合い方から在り方へー, 幻冬舎メディアコンサルティング, 2021
- 日本ナルコレプシー協会:ナルコレプシーはこんな病気 https://narukokai.or.jp/about_nalco.html
- 本多裕:ナルコレプシーの研究 知られざる睡眠障害の謎, 悠飛社, 2002
- 厚生労働省:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳 ご家族にできること https://kokoro.mhlw.go.jp/families/
- 厚生労働省:こころもメンテしよう 若者のためのメンタルヘルスブック https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/docs/book.pdf