病気について:無又は低ガンマグロブリン血症

お薬の吸収とトラフ値

血中濃度について

投与されたお薬は、吸収されて血液の中に入り、効果を発揮したあと、最終的にからだの外に排泄されます。血液中のお薬の濃度を「血中濃度」と言い、お薬の効き目や副作用の強さなどの目安の1つと考えられています。
お薬の効果を持続させるには、お薬がからだの外にすべて排泄される前に繰り返し投与して、ちょうど良い範囲に血中濃度を維持することが大切です。無又は低ガンマグロブリン血症に対する免疫グロブリン補充療法の目的は、お薬を定期的に注射して、からだの中の正常な抗体を一定の量に保って免疫機能を上げることです。

トラフ値について

繰り返しお薬を投与すると、グロブリンの血中濃度が高くなったり低くなったりを繰り返し、連続した波のような形になります。それぞれの波の最も高い血中濃度をピークと言い、最も低いときの血中濃度を「トラフ値」と言います。グロブリンのトラフ値が低いと感染症にかかりやすくなるため、お薬を投与することでトラフ値を700mg/dL以上に保つことが大切です。なお、このことはガイドラインで推奨されています。

  • 日本免疫不全・自己炎症学会編集;原発性免疫不全症候群診療の手引き(改訂第2版), 2023 年.

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トラフ値 イメージ図

静脈内注射(点滴)の場合

静脈内注射(点滴)は直接血管内にお薬を投与するので、効率的に薬物が血液中に取り込まれるためグロブリンの血中濃度がすぐに高くなります。一方で、低いときとの差は大きくなります。また、血中濃度が一気に高くなることで、発熱や頭痛など全身性の副作用が出やすくなることがあります。

皮下注射の場合

皮下注射は皮下脂肪が豊富な部位(お腹や太もも)にお薬を投与します。点滴に比べて、じわじわとお薬が吸収されるため、血中濃度はゆっくりと高くなり、また、点滴ほど血中濃度が高くはならず、低いときとの差も小さくなります。また、繰り返し投与することで比較的安定した血中濃度を保つことができます。従来の皮下注射薬は、いちどに注入できるお薬の量に制限がありましたが、近年は、皮下組織の成分を一時的に分解する効果のあるお薬(ヒアルロニダーゼ)に続けてグロブリンを注射することにより短時間で従来の皮下注射薬より多く注入でき、また、効率よく吸収されるようになる皮下注射薬も登場しました。なお、皮下注射では、注射を打ったところが赤くなる・腫れる・痛いなどの副作用があらわれることがあります。

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グロブリン血中濃度の比較 イメージ図

金兼 弘和 先生ご監修のもと作成

  • 参考
  • Shehata N, et al. Transfus Med Rev. 2010; 24(Suppl 1): S28‒S50.
  • Orange JS, et al. Clin Immunol. 2010; 137(1): 21-30.