大腸がんとは

大腸がんはどこにできるのか?

大腸とは、盲腸から、結腸(上行じょうこう結腸、横行おうこう結腸、下行かこう結腸、S状結腸)、直腸(上部、下部)、肛門までの長さ約2mの臓器です。大腸がんは粘膜の表面から発生した後、次第に大腸の壁に深く侵入して、進行するにつれ、リンパ節や肝臓、肺など別の臓器に転移します。大腸がんの発生頻度を部位別に調べると、直腸、S状結腸、上行じょうこう結腸、横行おうこう結腸、盲腸、下行かこう結腸の順に多くなっています1)

大腸の構造:がんの部位別発生頻度(%)
横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、盲腸、上行結腸など大腸がんの部位別発生頻度
国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 消化管内科, 朴 成和: 国がん中央病院 がん攻略シリーズ 最先端治療 大腸がん,13, 法研, 2018. より作図

大腸がんの症状と部位のかかわり

大腸がんの症状には、お腹が張る、腹痛、しこり、便秘と下痢を繰り返す、血便などがありますが、できた部位によっては、必ずしもこうした症状が出ないこともあります。上行じょうこう結腸のがんは、便がまだ軟らかい部位であることから、便の通過がさえぎられることが少ないため、腹痛や血便は少ないといわれます。逆にS状結腸や直腸は、肛門に近いため、下血や血便に気づきやすいと言われます1)

大腸がん右側と左側の違い

大腸がんは大腸の右側にできるか(右側がん)、左側にできるか(左側がん)によって、症状が変わります。右側はがんが大きくなるまで症状が出にくいとされていますが、慢性的な出血による貧血がみられることがあります。一方、左側では血便や排便困難が多いといわれています2)。また、最近では、右側と左側では薬物療法の効き方に違いがあり、その結果、予後が異なるという報告が発表され、大きな注目を浴びています。これらの違いには右側と左側の発生学的な違いや遺伝子変異、発現割合などの違いが関与することが示唆されています。

横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、盲腸、上行結腸など大腸がんの右側がんと左側がんによる血便の違いや遺伝子変異の違い

参考文献:

  1. 1) 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 消化管内科, 朴 成和:国がん中央病院 がん攻略シリーズ 最先端治療 大腸がん,12-19, 法研, 2018.
  2. 2) 大腸癌研究会編:患者さんのための大腸癌治療ガイドライン,2022年版,16,金原出版,2022.

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このページでは、大腸がんはどこにできるのか、大腸がんの症状と部位のかかわり、大腸がんの右側と左側の違いについてご説明します。