骨の健康にかかわる栄養素は多く、バランスのよい食事を心がけることが骨粗しょう症予防の基本です。
なかでも骨の材料となるカルシウムは欠かせません。日本人はあらゆる世代でカルシウムが不足しています。成人以降は、毎日下表の推奨量より100mg多めを目安に吸収率の高い乳製品などからカルシウムをとるよう心がけましょう(「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」より)。
注)分量について:食品の大きさにはばらつきがありますので、参考としてお使いください。
妊娠中や授乳中は、赤ちゃんのためにも、より多くのカルシウムが必要ではないかという心配がありますが、特別の配慮は不要と考えられています。非妊娠時にくらべて、妊娠中は母体の腸からのカルシウム吸収率が著しく高まります。特に妊娠後期の吸収率は高く、必要な量が胎児に送られ、それ以上の余分なカルシウムは尿から排泄されます。また、授乳中のカルシウム吸収率の上昇は軽度ですが、便や尿、汗からの排泄量が減少し、乳児に必要なカルシウムは母乳で確保できます。年齢に応じた適量を摂取すれば大丈夫です。
カルシウムは体内に吸収されにくい栄養素です。カルシウムを効率よく摂取するために、カルシウムの吸収を助ける栄養素や、反対に吸収をさまたげる栄養素を知っておきましょう。
もちろん、何より問題になるのは、かたよった食生活。まずは1日3食、栄養バランスを整えることが大切です。
骨を丈夫にするためには、骨のコラーゲンの劣化を防いで「骨質」を良くしておく必要があります。有効とされているのがビタミンB6、ビタミンB12、葉酸。これらの栄養素を十分にとることは、骨を丈夫にするだけでなく、動脈硬化や心臓病のリスクも下げるといわれています。
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは食事以外でも確保できます。人間の皮下脂肪には、日光(紫外線)を浴びることによってビタミンDに変わる物質が含まれています。両手のひらぐらいの面積を1日に約15分、日光にあてることでビタミンDがつくられます。日ざしの強い夏は、日陰にいるだけでも効果があります。上手に日光と付き合いましょう。