6.薬物療法の副作用について

標準治療の薬物療法による副作用には、自分で気づくことのできるものと検査でわかるものがあります。副作用を軽減する治療も大きく進歩しています。いつ頃、どのような副作用が出やすいのか、どういうときに医師、薬剤師、看護師に相談したらよいのかを知っておきましょう。

標準治療で出やすい副作用と出現時期

多発性骨髄腫の薬物療法は効果がある半面、ほとんどの人に副作用が出ます。標準治療で使うおくすりによって出やすい副作用は、手足のしびれ、吐き気・嘔吐、便秘、食欲不振、骨髄抑制(白血球・好中球・血小板の減少)、口内炎、下痢、湿疹、血栓症などです(表5)。
患者さんによって、症状の出方や出現時期には個人差があります。一般的に、点滴による抗がん剤投与の最中や直後に出やすい副作用は、アレルギー反応(血圧低下、呼吸困難)、吐き気・嘔吐、血管痛などです。治療開始翌日から1週間は食欲不振、倦怠感、口内炎や下痢、1~2週目くらいから骨髄抑制、2~4週間くらいには手足のしびれ、脱毛などの副作用が出ることがあります。まれではありますが、間質性肺炎、血栓症が起こることがあります。

自分で気づくことのできる副作用

表5 多発性骨髄腫の薬物療法で出やすい
主な副作用

表5 多発性骨髄腫の薬物療法で出やすい主な副作用 画像を拡大する

骨髄腫の治療で特に注意したいのが、手足のしびれです。漢方薬などで改善することもありますが、おくすりの量を調節したりおくすりを変更したりする必要があります。手足のしびれ、ピリピリ感、ボタンが留めにくいなどの症状があったら、早めに医師に伝えましょう。治療開始から12~72時間後に、排尿がまったくできなかったり量が減ったりしたときには、腎不全の悪化につながる腫瘍崩壊症候群を起こしているおそれがあります。また、38度以上の発熱・悪寒、呼吸困難、動悸や息苦しさ、空咳が続く、片足だけむくみがひどい、下痢がひどく水分がとれないといった症状があるときには、治療を受けている病院へできるだけ早く連絡することが重要です。
一方、おくすりで吐き気や嘔吐などの副作用はかなり軽減できるようになってきています。副作用をおそれて薬物療法を敬遠したり、飲み薬の服用を勝手に中断したりしないようにしましょう。

表5 多発性骨髄腫の薬物療法で出やすい主な副作用

表5 多発性骨髄腫の薬物療法で出やすい主な副作用 画像を拡大する

治療中の注意点

骨髄抑制は自覚症状がないことが多いのですが、治療中は感染症になりやすく、けがも治りにくくなるので、こまめな手洗い、うがい、人込みを避けるなどの感染症対策やけがの予防を心がけましょう。
副作用には、我慢せずにすぐに病院へ連絡したほうがよいものがあります。薬物療法を始める前に、どういうときに病院のどこへ連絡すべきか、休日や夜間の連絡先も含めて確認しておくことが大切です。