3.治療の流れについて

治療は、⼀般的に症状が出現し、症候性⾻髄腫になった段階で開始します。症状がない場合には、定期的な検査を受けて様⼦をみます。治療には、造⾎幹細胞移植に⼤量薬物療法を併⽤する⽅法と、標準量の薬物療法があります。多発性⾻髄腫によって出ている症状の治療も⼤切です。

治療を始める時期と症候性骨髄腫の治療法

図3 多発性骨髄腫の治療の流れ

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多発性⾻髄腫に対しては、⼀般的に、高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変などの症状が出て、症候性⾻髄腫と診断された場合に治療を開始します。症候性⾻髄腫の治療は、患者さんの年齢、体⼒、持病の有無、臓器障害による症状によって異なります。
⾃覚症状のない無症候性⾻髄腫や意義不明のM蛋⽩⾎症の場合、治療せずに定期的に検査を受けて経過をみることが基本です。ただ、進⾏するリスクが⾼い⾻髄腫診断バイオマーカー(表3)がある場合には、症状が出ていなくても、早めに治療を始める場合があります。
65歳以下で、感染症や肝障害、腎障害、⼼臓や肺の機能に問題がなく、本⼈が希望した場合には、⾃家末梢⾎幹細胞移植と⼤量薬物療法を組み合わせた治療を⾏います。66歳以上、あるいは、持病があったり肝障害や腎障害があったりして、移植の対象にならない場合には、従来の抗がん剤と新しいタイプのおくすりを組み合わせた薬物療法を⾏います(図3)。

図3 多発性骨髄腫の治療の流れ

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その他の骨髄腫の治療法と合併症の治療

⾻の孤⽴性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫に対しては、病変の消失を⽬指して放射線療法を⾏います。患部に、4〜5週間で20〜25回放射線を照射します。
また、多発性⾻髄腫の治療では、高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変など⾻髄腫によって出ている合併症の改善も重要です。⾻髄腫⾃体の治療によって症状が改善する場合もありますが、必要に応じて、⾻髄腫の治療と合併症の治療を並⾏して⾏います。
高カルシウム血症、急性腎不全、肺炎などは緊急性が⾼いため、⾻髄腫⾃体の治療よりも先に、まずは合併症の治療を⾏います。場合によっては、合併症の治療のための⼊院が必要になります。

標準治療とは

標準治療は、国内外のたくさんの臨床試験の結果をもとに検討され、専⾨家の間で合意が得られている現時点で最善の治療法です。⽇本⾎液学会が『造⾎器腫瘍診療ガイドライン』、⽇本⾻髄腫学会が『多発性⾻髄腫の診療指針』を作成し、多発性⾻髄腫の治療法を標準化しています。