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切除不能進行再発大腸がん

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大腸がんQ&A

大腸がんの基本

大腸がんの進行度は?

大腸がんは、ステージ(病期びょうき)0からⅣまであり、0から順に進行したがんになります。病期びょうきはがんの大きさではなく、大腸の壁にどのくらいがん細胞が深く入り込んでいるか、周囲の組織への広がり(浸潤しんじゅん)の程度、およびリンパ節や肝臓、肺など他の臓器への転移があるかどうかで決まります。

大腸癌研究会 編:患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版,11,12, 金原出版, 2014より改変

ステージ別で治療が違う?

大腸がんの治療は進行度に応じて違います。科学的根拠に基づいた、その時の最良の治療法を「標準治療」といい、大腸がんの標準治療は次のようなものです。
ステージは病期びょうきのことで、0~Ⅳまであります。

大腸癌研究会 編:患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版,37-39,金原出版,2014より改変

ステージ0

がんが粘膜ねんまく内にとどまっているときは、内視鏡で取り除きます。一度で取り切れないときは手術をします。

ステージⅠ

がんが粘膜ねんまくに達していても比較的浅い「軽度浸潤しんじゅん」の場合は、内視鏡で切除します。
がんが粘膜下層ねんまくかそうの深くまで達している「深度浸潤しんじゅん」の場合は手術が選択されます。大きさにより、決められた範囲の腸管と転移の可能性のあるリンパ節を切除します。
手術には、お腹にメスを入れて切る開腹かいふく手術と、腹腔鏡ふくくうきょう手術があります。腹腔鏡ふくくうきょう手術とは、お腹に内視鏡を刺し、テレビカメラでお腹の様子を見ながらがんを切除するものです。

ステージⅡ・ステージⅢ

手術(開腹かいふく手術または腹腔鏡ふくくうきょう手術)により、適切な範囲で腸管と転移の可能性のあるリンパ節を取り除きます。切除したリンパ節に転移したがんが見つかった場合は、再発を予防するために、化学療法放射線療法を行います。

ステージⅣ

切除が可能な場合は、原発がん(最初にできたがん)、転移したがんを切除します。手術は何度かに分けて行うこともあります。大腸がんは切除することにより根治こんちが望めるがんだからです。
転移した場所や個数、患者さんの全身状態によって、手術ができない場合は、化学療法や放射線療法 、つらい症状を和らげるための緩和治療が行われます。

大腸がんはどこにできるのか?

大腸とは、盲腸から、結腸(上行じょうこう結腸、横行おうこう結腸、下行かこう結腸、S状結腸)、直腸(上部、下部)、肛門までの長さ約2mの臓器です。大腸がんは粘膜の表面から発生した後、次第に大腸の壁に深く侵入して、進行するにつれ、リンパ節や肝臓、肺など別の臓器に転移します。大腸がんの発生頻度を部位別に調べると、直腸、S状結腸、上行じょうこう結腸、横行おうこう結腸、盲腸、下行かこう結腸の順に多くなっています1)

科学的根拠に基づくがん検診, 大腸がん検診ガイドライン・ガイドブック(解説版)
http://canscreen.ncc.go.jp/pdf/guidebook/daicyouganbook.pdf(2018年4月18日)

大腸がんの症状と部位のかかわり

大腸がんの症状には、お腹が張る、腹痛、しこり、便秘と下痢を繰り返す、血便などがありますが、できた部位によっては、必ずしもこうした症状が出ないこともあります。
上行じょうこう結腸のがんは、便がまだ軟らかい部位であることから、便の通過がさえぎられることが少ないため、腹痛や血便は少ないといわれます。逆にS状結腸や直腸は、肛門に近いため、下血や血便に気づきやすいと言われます1)

大腸がん右側と左側の違い

大腸がんは大腸の右側にできるか(右側がん)、左側にできるか(左側がん)によって、症状が変わります。右側では出血による鉄欠乏性てつけつぼうせい貧血が多く、左側では血便や排便困難が多いといわれています2)
また、最近では、右側と左側では抗がん剤の効き方に違いがあり、その結果、予後が異なるという報告が発表され、大きな注目を浴びています。これらの違いには右側と左側の発生学的な違いや遺伝子変異、発現割合などの違いが関与することが示唆されています。

参考文献:

1)国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 消化管内科, 朴 成和:国がん中央病院 がん攻略シリーズ 最先端治療 大腸がん,12-19, 法研, 2018.

2)Petreli F, et al.: JAMA Oncol. 2017, 3(2): 211-219 .

大腸がん治療のガイドライン
ガイドラインとは、病気の予防・診断・治療・予後予測など診療の根拠や手順についての最新の情報を専門家の手でわかりやすくまとめた指針のことです。国内の「大腸癌治療ガイドライン」には、標準的な治療方針とその根拠が示されています。日本と海外とでは、大腸がんの診療の質、診療に対する考え方に違いがあるため、海外のデータを十分に吟味する一方で、大腸癌研究会等で集積された日本独自の臨床データも重視して、本ガイドラインは作成されています。アメリカには「NCCNエヌシーシーエヌ(全米総合がん情報ネットワーク)ガイドライン」があります。NCCNエヌシーシーエヌガイドラインでは、大腸がんができた場所(左側か右側か)で治療方針が異なります。日本の大腸癌研究会の先生も参加するアジア版ESMOエスモでも、大腸がんが左側・右側どちらにあるかで、治療方針は異なります。

再発・転移のリスクが高い部位とは?

大腸がんがどこにできるかにより、再発・転移のリスクが変わってくる場合があります。たとえば、結腸は長いので比較的広い範囲を切除しやすく、再発のリスクが低いといわれてきました。これに対して、直腸にがんができると、直腸は骨盤内にあり、膀胱や神経も近いため、広範囲に切除しにくく、取り残した細胞から再発することもあります。肝臓や肺への転移の場合、切除可能なものは切除しますが、切除できないとき、およびリンパ節や腹膜ふくまく、骨、脳に転移した場合は、化学療法放射線療法が行われます。

参考文献:
瀬戸康之・高橋慶一 監:マンガと図解でわかる 胃がん・大腸がん, 136-137, 法研, 2017.

食事で気をつけることは?

食事については気をつけなければいけないことはありません。アルコールも楽しむ程度であれば、とって頂いてかまいません。自由に楽しい生活を過ごすことを心がけるようにしましょう。不安なことがあれば、担当の医師に聞いてみましょう。

個別化医療とは?

2003年、人体の設計図であるヒトゲノムの解読が終わったことにより、医療は大きく変わり始めました。その人の遺伝子を調べることにより、遺伝病や将来かかりやすい病気を予測したり、今かかっている病気の診断をして、その人に合った薬を選んだりすることが可能になったのです。このうち、病気の治療にゲノム医療を活用し、その人に合う薬を使うことを「個別化医療」といいます。
がんとは、正常な細胞の遺伝子が突然変異した異常細胞のことで、だれのからだでも生まれているものです。一つの細胞で、それが何度も起こることにより、がん細胞が生まれます。
がんの「個別化医療」では、患者さんから採取したがん細胞の遺伝子検査を行うことにより、そのがんの進行度や悪質度を判断し、効果のある薬を見つけることが可能になったのです。この時使う抗がん剤は、「分子標的薬ぶんしひょうてきやく」といって、異常な細胞だけをピンポイントでたたく薬です。その人に合う薬なので、従来の抗がん剤と比べ副作用が大幅に軽減され、効果も高まります。
大腸がんでは、EGFRイージーエフアールという遺伝子の異常をターゲットにしたEGFRイージーエフアールタンパク質の阻害薬があります。最近では、免疫めんえきチェックポイント阻害薬という新しいタイプの分子標的薬ぶんしひょうてきやくが研究されています。

参考文献:
櫻井晃洋:そうなんだ!遺伝子検査と病気の疑問, 77-84, メディカルトレビューン, 2013.

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全身状態をみる指標の一つで、患者さんの日常生活の制限の程度により、0~4で示します。
表はECOGイーコグ(米国の腫瘍学の団体の1つ)が決めた「Performanceパフォーマンス Statusステータス(PS)」の日本臨床腫瘍研究グループ(JCOGジェイコグ)による日本語訳です。

グレードパフォーマンス ステータス(Performance Status:PS)
0全く問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。(例:軽い家事、事務作業)
2歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
3限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4全く動けない。自分の身のまわりのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす。

参考文献:
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス 一般の方向けサイト 用語集
https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/Performance_Status.html(2018年4月9日)

「ステージ」は病期びょうき分類ともいい、がんの大きさや広がりなど、がんの状態をあらわす指標です。病期びょうき分類の1つに、国際対がん連合の「TNMティエヌエム分類」があります。これは、がんの大きさ(T因子)、周辺のリンパ節への転移(N因子)、別の臓器への転移(M因子)の3要素を組み合わせて、ステージ0からステージⅣまでの5段階に分けるものです。

参考文献:
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス がんになったら手にとるガイド
https://ganjoho.jp/hikkei/chapter3-1/03-01-03.html(2018年4月9日)

化学物質によってがんの増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療を「化学療法」と呼びます。化学療法は、活発に増殖する細胞に対して治療効果を及ぼすため、がん細胞だけでなく、皮膚や毛根、骨髄こつずいなど、活発に細胞分裂している他の組織にも影響が出ます。

参考文献:
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス 一般の方向けサイト 診断・治療
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/attention/chemotherapy/about_chemotherapy.html(2018年4月9日)

がんによって起こるさまざまな苦痛を和らげるための治療で、緩和ケアともいいます。痛みやつらさの原因や種類により、痛み止めの薬を使う、神経を麻痺まひさせる注射(神経ブロック)で処置をする、放射線療法 、バイパス手術などの手術、マッサージやはりきゅうで筋肉のこわばりをほぐす、心の問題を専門に扱う医師や看護師、カウンセラーによる不安の軽減などの方法があります。

参考文献:
国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス がんになったら手にとるガイド
https://ganjoho.jp/hikkei/chapter3-1/03-01-09.html(2018年4月9日)

肝臓にがんが転移し、手術が難しい患者さんを対象に、肝臓の動脈にカテーテル(管)で直接抗がん剤を投与します。がんを小さくすることができます。

参考文献:
大腸癌研究会 編:患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版, 40, 金原出版, 2014.

がんの化学療法では、動脈カテーテルを用いて局所に抗がん剤を注入する薬物療法もありますが、一般には、抗がん剤やホルモン剤等の薬剤を、静脈内注射やのみ薬の方法で投与する薬物療法を行います。これを全身化学療法といいます。切除不能大腸がんで全身化学療法の適応となるのは、転移した臓器が肝臓、肺、リンパ節、腹膜ふくまくなどの場合です。

参考文献:
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス がんになったら手にとるガイド
https://ganjoho.jp/hikkei/chapter3-1/03-01-05.html(2018年4月9日)
大腸癌研究会 編:大腸癌治療ガイドライン, 医師用, 2016年版, 31-38, 金原出版, 2016.

大腸などの消化管の壁に穴があくこと、あるいは穴があいた状態を穿孔せんこうといいます。大腸などの消化管で穴があいたところが、隣接する組織や臓器によってふさがれた状態は穿通せんつうと呼びます。

参考文献:
日本救急医学会 医学用語解説集
http://www.jaam.jp/html/dictionary/dictionary/word/0412.htm(2018年4月9日)

がんが再発・転移したところに針を刺してマイクロ波やラジオ波で熱を発生させ、がんを固めて死滅させる方法です。切除より身体への負担が少ないので、基礎疾患がある患者さんなどに有効です。

参考文献:
大腸癌研究会 編:患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版,41,金原出版,2014

放射線は、がん細胞を消滅させたり減らしたりする働きがあります。大腸がんの再発・転移では、①全身状態が良好で、薬物療法が可能な患者さんの症状緩和効果、QoLキューオーエル(生活の質)を保つことを目的に薬物療法と併用して行う、②全身状態が不良で、薬物療法が困難な患者さんの疼痛とうつう緩和、症状の軽減などを目的に行う、③手術が難しい患者さんの治療のため、薬物療法と併用して行う、という方法があります。

参考文献:
大腸癌研究会 編:大腸癌治療ガイドライン, 医師用, 2016年版, 70, 金原出版, 2016.

がん細胞が静脈に侵入し、他の臓器に流れついて、そこで増殖することです。大腸の血流はまず肝臓に流れるため、大腸がんの血行性転移けっこうせいてんいで最も多いのは肝臓への転移です。次に多いのが肺への転移、さらに進行すると、骨や脳など全身の臓器に血行性転移けっこうせいてんいを起こすこともあります。

参考文献:
大腸癌研究会 編:患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版, 10, 金原出版,2014.

リンパ管は、血管のようにからだの中に張り巡らされています。リンパ管は途中にリンパ節という節目があり、さらに枝分かれしていきます。リンパ行性転移こうせいてんいとは、がん細胞がリンパ管に侵入し、リンパ液の流れに沿って、途中のリンパ節に流れついて増殖することです。がん細胞は、次のリンパ節に流れていき、次第に遠く離れたリンパ節まで広がっていきます。

参考文献:
大腸癌研究会 編:患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版, 10, 金原出版,2014.

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