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クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬vedolizumab臨床第3相試験結果の
The New England Journal of Medicine掲載について

当社は、このたび、クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬vedolizumab(一般名、開発コード: MLN0002)の臨床第3相試験結果が、世界的に権威のある医学雑誌「The New England Journal of Medicine(以下、NEJM誌)」2013年8月22日号に掲載されましたのでお知らせします。

今回NEJM誌に掲載された試験結果は、GEMINIⅠ試験およびGEMINIⅡ試験から得られたものです。これらの試験は、世界約40ヶ国において、2,700名の患者さんを対象にクローン病と潰瘍性大腸炎の評価を同時に実施した最大規模の臨床試験であるGEMINI試験の一部です。

潰瘍性大腸炎を対象に実施したGEMINI I試験では、投与6週時点の改善率*1および投与52週時点の寛解率*2のいずれの主要評価項目も満たすことが確認されました。さらに、投与6週および52週時点における粘膜治癒率*3ならびに投与52週時点におけるステロイドフリー寛解率について、vedolizumab投与群は、プラセボ投与群に対して有意に高いことが示されました。クローン病を対象に実施したGEMINIⅡ試験では、主要評価項目である投与6週時点および投与52週時点の寛解率*4について、vedolizumab投与群はプラセボ投与群に対して有意に高いことが示されました。投与6週時点の症状改善率*5については有意差が認められなかったものの、投与52週時点の症状改善率*5およびステロイドフリー寛解率については、プラセボ投与群に対して有意に高いことが示されました。

*1 改善率(潰瘍性大腸炎): Mayoスコアがベースラインから3ポイント以上かつ30%以上低下。これに加えて、直腸出血のサブスコアが少なくとも1ポイント低下あるいは直腸出血のサブスコア絶対値が1以下
*2 寛解率(潰瘍性大腸炎): Mayoスコアが2以下かつ他のサブスコアで1を超えるものが無い
*3 粘膜治癒率(潰瘍性大腸炎): Mayo内視鏡サブスコアが1以下
*4 寛解率(クローン病): クローン病活動指数(CDAI)が150以下
*5 症状改善率(クローン病): CDAIが100ポイント以上減少

カナダのUniversity of Western Ontario、疫学・生物統計学部の内科学教授であり、GEMINI試験の治験調整医師でもあるBrian Feagan医師は、「既存治療不応の患者さんを対象としたGEMINI試験において、症状をコントロールできる可能性が示されたことは非常に重要です。本試験結果は、病状の寛解を望まれているクローン病および潰瘍性大腸炎の患者さんにとって、vedolizumabが新たな治療オプションとなりうることを示唆しています」と述べています。

当社の消化器・腎臓系・その他疾患領域のVice PresidentであるAsit Parikhは、「GEMINI Ⅰ、Ⅱ試験から、本薬がクローン病および潰瘍性大腸炎患者さんの寛解を持続させる可能性が示されました。消化器系疾患領域は当社の重点領域の一つであり、グローバルなプレゼンスを有していますので、本薬を患者さんにお届けできるよう尽力してまいります」と述べています。

<NEJM誌に掲載された臨床第3相試験データ>
潰瘍性大腸炎の導入療法および維持療法としてのVedolizumabについて

試験名

GEMINI I試験 (臨床第3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験)

対象

既存薬による治療を少なくとも1回施行し不応であった中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎

導入期 

【主要評価項目】 投与6週時点の改善率
【副次評価項目】 投与6週時点の寛解率および粘膜治癒率
【Intent-To-Treat (ITT) Population(無作為割付が行われた全ての症例)】
374名(うち、抗TNFα抗体不応例は約40%)
※ 非盲検のvedolizumab投与群には、さらに521名が登録
【投与方法】 1日目、15日目にvedolizumab 300mg(静脈注射)またはプラセボを投与。
(vedolizumab投与群225名、プラセボ投与群149名)
【結果】 改善率: vedolizumab投与群47.1%、プラセボ投与群25.5%(P<0.001)
寛解率: vedolizumab投与群16.9%、プラセボ投与群5.4%(P=0.001)
粘膜治癒率: vedolizumab投与群40.9%、プラセボ投与群24.8%(P=0.001)
維持期 【主要評価項目】 投与52週時点の寛解率
【副次評価項目】 投与52週時点の改善持続率(投与6週時点および52週時点の両方において改善を達成)、寛解持続率(投与6週時点および52週時点の両方において寛解を達成)、粘膜治癒率、投与6週時点でステロイドを使用していた患者における投与52週時点のステロイドフリー寛解率
【ITT Population】 登録患者895名のうち、投与6週時点で治療効果判定基準を満たした373名
【投与方法】 上記373名をvedolizumab 300mg(静脈注射) 4週間1回投与群(N=125)、8週間1回投与群(N=122)、プラセボ投与群(N=126)に無作為割付。投与期間は最大52週間
【結果】寛解率:  vedolizumab 8週間1回投与群 41.8%、vedolizumab 4週間1回投与群44.8%、プラセボ投与群15.9%(P<0.001)
改善持続率: vedolizumab 8週間1回投与群 56.6%、vedolizumab 4週間1回投与群52.0%、プラセボ投与群23.8%(P<0.001)
粘膜治癒率: vedolizumab 8週間1回投与群 51.6%、vedolizumab 4週間1回投与群56.0%、プラセボ投与群19.8%(P<0.001)
寛解持続率: vedolizumab 8週間1回投与群 20.5%、vedolizumab 4週間1回投与群24.0%、プラセボ投与群8.7%(P=0.008、P=0.001)
ステロイドフリー寛解率: vedolizumab 8週間1回投与群 31.4%、vedolizumab 4週間1回投与群45.2%、プラセボ投与群13.9%(P=0.01、P<0.001)

導入期~維持期

【第0週~52週におけるSafety Population(治験薬投与を1 回も受けていない場合を除く全症例) 895名】
  • vedolizumab投与群(620名)において発現率が9.0%以上の主な有害事象: 潰瘍性大腸炎、頭痛、鼻咽頭炎、関節痛
  • プラセボ投与群(275名)において発現率が9.0%を超えた主な有害事象: 潰瘍性大腸炎、頭痛、鼻咽頭炎、関節痛
  • vedolizumab投与群で、日和見感染症および腸管感染症の発現率の上昇は見られなかった
  • Ÿ  死亡例1例(66歳男性:導入期初回投与の14日後、急性冠症候群で死亡)
クローン病の導入療法および維持療法としてのVedolizumabについて
試験名 GEMINI II試験 (臨床第3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、平行群間試験)
対象 既存薬による治療を少なくとも1回施行し不応であった中等度から重度の活動期クローン病
導入期 【主要評価項目】 投与6週時点の寛解率および症状改善率
【副次評価項目】 投与6週時点のC反応性タンパク質(CRP)値のベースラインからの変化量
【ITT Population】 368名(うち、抗TNFα抗体不応例は約50%:一次無効例は全不応例の26%)
約30%は少なくとも2回の抗TNFα抗体治療を施行し不応
※ 非盲検のvedolizumab投与群には、さらに747名が登録
【投与方法】 vedolizumab 300mg(静脈注射)またはプラセボを投与。
(vedolizumab投与群220名、プラセボ投与群148名)
【結果】 寛解率: vedolizumab投与群14.5%、プラセボ投与群6.8%(P=0.02)
症状改善率: vedolizumab投与群31.4%、プラセボ投与群25.7%で有意差なし(P=0.23)
維持期 【主要評価項目】 投与52週時点の寛解率
【副次評価項目】 投与52週時点の症状改善率、ステロイドフリー寛解率、寛解持続率(最終時を含め、診察来院時の80%以上で寛解を確認)
【ITT Population】 導入期治療を受けた1,115名のうち、投与6週時点で改善(CDAIがベースラインから70ポイント以上低下)を示した461名
【投与方法】 上記461名をvedolizumab 300mg(静脈注射) 4週間1回投与群(N=154)、8週間1回投与群(N=154)、プラセボ投与群(N=153)に無作為割付。投与期間は最大52週間
【結果】 寛解率: vedolizumab 8週間1回投与群39.0%、vedolizumab 4週間1回投与群36.4%、プラセボ投与群21.6%(P<0.001、P=0.004)
症状改善率: vedolizumab 8週間1回投与群43.5%、vedolizumab 4週間1回投与群45.5%、プラセボ投与群30.1%(P=0.01、P=0.005)
ステロイドフリー寛解率: vedolizumab 8週間1回投与群31.7%、vedolizumab 4週間1回投与群28.8%、プラセボ投与群15.9%(P=0.02、P=0.04)
導入期~維持期 【第0週~52週におけるSafety Population 1,115名】
  • vedolizumab投与群(814名)において発現率が8.0%を超えた主な有害事象: クローン病の病勢進行、関節痛、発熱、鼻咽頭炎、頭痛、悪心、腹痛
  • プラセボ投与群(301名)において発現率が8.0%以上の主な有害事象: クローン病の病勢進行、頭痛、関節痛、発熱、腹痛、悪心、鼻咽頭炎
  • 5例の死亡例が見られ、そのうち、vedolizumab投与群4例(敗血症を伴うクローン病、被験者による併用薬の過量服用、心筋炎、敗血症性ショック)およびプラセボ投与群1例(気管支肺炎) 

以上

<Vedolizumabについて>
Vedolizumabは、クローン病および潰瘍性大腸炎治療薬として開発中のヒト化モノクローナル抗体です。α4β7インテグリンは、クローン病や潰瘍性大腸炎における炎症発生プロセスに関与するとされる循環白血球のサブセットに発現し、消化管における血管やリンパ節に特異的に存在する細胞接着分子に結合します。本薬は、α4β7インテグリンの細胞接着分子への結合を阻害します。
なお、本薬は、中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病を効能として、米国において生物学的製剤承認申請を2013年6月に、欧州において販売許可申請を2013年3月に提出しています。

<GEMINI試験TMについて>
GEMINI試験は、GEMINIⅠ試験、GEMINIⅡ試験、GEMINIⅢ試験、GEMINI LTS(非盲検、長期安全性)試験からなり、vedolizumab投与による潰瘍性大腸炎およびクローン病の改善率、寛解率、長期安全性に加えて、潰瘍性大腸炎における粘膜治癒率を評価しています。当該試験は、少なくとも1回の標準治療(コルチコステロイド、免疫調節薬および/または抗TNFα抗体)による治療を施行し不応であった中等度から重度の活動期クローン病および潰瘍性大腸炎を対象に実施しており、抗TNFα抗体不応例には、十分な効果が見られなかった一次無効、効果が持続しなかった二次無効、抗TNFα抗体不耐性の患者さんが含まれています。

<クローン病および潰瘍性大腸炎について>
クローン病および潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患の二大疾患であり、白血球が消化管の組織に浸潤することで、消化管に炎症を発生させ、痛みと衰弱をもたらします。潰瘍性大腸炎が直腸、結腸を含む大腸だけに発現するのに対し、クローン病は消化管内部のあらゆる部位で炎症を惹起します。クローン病で最もよく見られる症状は、腹痛、下痢、直腸出血、体重減少、発熱であり、潰瘍性大腸炎で最もよく見られる症状は、腹部不快感、下痢時の出血あるいは排膿です。両疾患については、多くの研究者が外的な環境要因と遺伝子や体内の免疫システムとの相互作用が疾患を引き起こすと指摘していますが、正確な原因はいまだ不明です。炎症性腸疾患治療薬は、寛解の達成、維持、あるいは症状のない期間の延長を目指すものです。
炎症性腸疾患患者数は全世界で400万人以上であり、米国では140万人、欧州では220万人です。

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