植物のご紹介

ウンシュウミカン

ウンシュウミカン

Citrus unshiu (Swingle) Marcow. ミカン科(Rutaceae)
(局方)Citrus unshiu Markovich
生薬名:チンピ(陳皮)  薬用部位:果皮
本種の名は、中国浙江省の温州にちなんで命名されましたが、温州原産ではなく日本原産とされる常緑低木です。本種の親は長年不明でしたが、近年のDNA鑑定の結果、種子親がキシュウミカン(C. kinokuni Hort. ex Tanaka)、花粉親がクネンボ(C. nobilis Lour.)であることが推定されました。
生薬「チンピ」は本種の成熟した果皮で、ヘスペリジン(フラボノイド)などの成分を含み、芳香・苦味健胃、鎮咳などの作用があります。一般用漢方製剤294処方のうち、香蘇散(こうそさん)、平胃散(へいいさん)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)など48処方に配合されています。

5月頃に咲く白い花は甘い香りを放ちます。

11~12月にかけて果実が成熟します。薬用には果肉ではなく、果皮を使用します。

生薬名のチンピの「陳」は「古い」の意で、長く保存された古いものほど良品とされます。漢方では通常1年以上を経て橙色が濃くなったものを使用します。